干しヒジキの水戻しで毒性の強い無機ヒ素が減らせます!

 7月28日中日新聞で「ヒジキ食べないで」−発癌物質含有の恐れというタイトルで英国食品基準局のヒジキを使った食品の摂取を控えるよう勧告したことが報道されました。日本産のヒジキ製品から発ガン性の疑いのある無機ヒ素が検出されましたが、昆布や若芽などには含まれていませんでした。
 7月30日厚生労働省は急遽、「極端に多く摂取せずバランスの良い食生活を心掛ければ健康リスクが高まることはない」との意見を出しました。
 今回問題となっているヒ素は、50年前森永ヒ素ミルク事件で100名以上の乳児が死亡した事件や和歌山の毒カレー事件で一躍有名になった元素ですが、最近では茨城県で有機ヒ素を含有する井戸水を飲んだ家族が慢性中毒になる事件がありました。ヒ素は、古代から赤や黄色の顔料、梅毒治療剤、ネズミ駆除剤、木材防腐剤として使われ、最近では半導体産業では必須の元素です。無機ヒ素には3価と5価のヒ素があり、毒性が強いものは亜ヒ酸(3価)で、ヒ酸(5価)は亜ヒ酸よりも弱い毒性です。亜ヒ酸の場合、5〜50mgで急性中毒を起こすといわれており、服用後数10分〜数時間で嘔吐、腹痛、下痢、筋肉痛、発熱などの中毒症状を起こします。


    ┌ 有機ヒ素           毒性    ↑弱い
ヒ素─┤                        │
    └ 無機ヒ素─┬ヒ酸(5価)         │
              └亜ヒ酸(3価)       ↓  強い

 私たちは、1日0.1〜0.2mg程度のヒ素を海藻類やそれを食べる魚類から摂取していますが、ヒ素の多くは有機ヒ素の形で毒性は無機ヒ素よりも少ないといわれています。今回問題となった干しヒジキは総ヒ素(有機+無機)含量も高く、英国の検査データでは約7割が無機ヒ素(大部分ヒ酸)です。しかし、干しヒジキを水戻しすることにより、かなりの無機ヒ素のヒ酸が除去されます。
 以上のことから、日本人は干しヒジキを水戻しして食べることにより、ヒ素の毒性を大幅に減らすことが出来、昔からの人間の食材に対する素晴らしい英知を感じます。干しヒジキはカルシウム(70mg/5gヒジキ)、鉄分(2.7mg/5gヒジキ)などを多く含んでいる食材ですから、たっぷりの水で30分位水戻した後(無機ヒ素は溶出しますが、カルシウム・鉄は10%未満の損失)、うまく料理に利用して、健康で豊かな食生活を楽しんでください。
 なお、生協の「ひじきドライパック110g×2」は、干しヒジキを3時間水戻し後ドライパックにして有りますので、安心してお召し上がりください。
 商品安全検査センターでは今年秋からお米のカドミウム、魚の水銀の検査を開始します。その後、ヒ素の検査も行っていく予定ですので、検査結果は又皆さんにお知らせします。

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